今日から始める実務 — 衛生管理計画の作り方と記録の付け方
手引書の入手から記録・見直しまで、手を動かせる順に。 ・ 最終更新 2026-08-10
ご確認のお願い: 本サイトは厚生労働省の公式情報をわかりやすく整理した参考情報です。制度の運用・罰則・自店が「小規模な営業者等」に当たるか・具体的に何を記録すべきかといった個別の判断は、営業許可を所管する保健所や厚労省の公式情報でご確認ください。 制度・手引書・様式は改訂されることがあり、本サイトは内容の正確性・完全性・最新性を保証しません。掲載は目安であり、断定を避けています。
厚労省が営業者の実施事項として挙げているのは、「「一般的な衛生管理」及び「HACCPに沿った衛生管理」に関する基準に基づき衛生管理計画を作成し、従業員に周知徹底を図る/必要に応じて、清掃・洗浄・消毒や食品の取扱い等について具体的な方法を定めた手順書を作成する/衛生管理の実施状況を記録し、保存する/衛生管理計画及び手順書の効果を定期的に(及び工程に変更が生じた際等に)検証し(振り返り)、必要に応じて内容を見直す」です(出典: 厚生労働省 HACCP(ハサップ)制度トップ・2026-08-10 確認)。これを小さな店が動ける順に落とすと、次の5ステップです。
自業種の「手引書」を厚労省サイトで入手する
一般的な飲食店なら「小規模な一般飲食店」の手引書。すし・焼肉など特性が強い業態は専用手引書があります。まず自分の業種の手引書(PDF)を厚労省の一覧から入手し、様式もそこから使います。ゼロから難しい計画書を作る必要はありません。
衛生管理計画をA4数枚に落とす
衛生管理計画は「一般衛生管理のポイント」と「重要管理のポイント」の2部構成が基本です。手引書のひな形に、自店の実態(扱う食品・調理工程)を当てはめて記入します。凝った文書にせず、続けられる分量にするのがコツです。
従業員に周知する
計画は作って終わりではなく、店で働く全員が同じ手順で動けるようにするためのものです。厚労省も「衛生管理計画を作成し、従業員に周知徹底を図る」ことを実施事項として挙げています。掲示や朝礼で共有します。
毎日の実施を記録する
決めた管理(温度確認・手洗い・清掃など)を実施し、その状況を記録して保存します。記録は毎日の締め作業に組み込むと続きます。様式は手引書の公式様式を使うか、厚労省が案内する記録アプリを使う方法もあります。
定期的に振り返って見直す
「効果を定期的に検証し、必要に応じて内容を見直す」ことが求められています。ヒヤリ・ハットや設備変更があれば計画を更新します。年に一度など、見直しのタイミングを決めておくと運用が安定します。
衛生管理計画の作り方(2つのパート)
衛生管理計画は「一般衛生管理のポイント」と「重要管理のポイント」の2部で考えると整理しやすいです。 いずれも、具体的な温度・時間などの数値は業種・手引書で異なります。数値の基準は自業種の手引書と保健所で確認してください(当サイトでは断定しません)。
A. 一般衛生管理のポイント(お店全体の土台)
| 管理項目 | 何を決める・確認するか |
|---|---|
| 原材料の受入れの確認 | 仕入れ時に鮮度・包装・表示・温度などを確認する。 |
| 庫内(冷蔵・冷凍)の温度確認 | 冷蔵庫・冷凍庫が適切な温度に保たれているかを確認する。 |
| 交差汚染・二次汚染の防止 | 生食材と加熱後の食品、器具の使い分けで汚染を防ぐ。 |
| 器具等の洗浄・消毒・殺菌 | まな板・包丁・ふきん等の洗浄消毒のルールを決める。 |
| トイレの洗浄・消毒 | トイレの清掃頻度と方法を決めて実施する。 |
| 従業員の健康管理・手洗い | 体調確認と、作業前・トイレ後などの手洗いを徹底する。 |
B. 重要管理のポイント(料理をグループで分けて)
提供する料理を「加熱の有無・タイミング」で3つに分けると、重要な管理点が見えます。手引書はこのグループ分けで整理されていることが多いです。
| グループ | 要点 |
|---|---|
| グループ①: 非加熱のまま提供 | 刺身・サラダ・冷奴など、加熱せず提供するもの。温度管理・鮮度・二次汚染防止が要点。 |
| グループ②: 加熱してすぐ提供 | 焼き物・揚げ物・炒め物など、十分に加熱して提供するもの。中心までの加熱が要点。 |
| グループ③: 加熱後に温度管理 | カレー・煮物・作り置きなど、加熱後に冷ます/温め直すもの。加熱と保管温度の管理が要点。 |
自業種の手引書には、これらのひな形(様式)が入っています。ゼロから作らず、ひな形に自店の実態を当てはめるのが近道です。
記録の付け方のコツ
記録は「実施状況を記録し、保存する」ためのもの。続けられる形にするのが一番大事です。
- 記録は「実施できた/できなかった」を残すのが基本。できなかった時の対応(廃棄・再加熱など)も一言書いておくと、見直しに役立ちます。
- 様式は自作せず、まず手引書の公式様式を使うのが確実です。日々の負担が大きい場合は、厚労省が案内する「HACCP衛生管理記録アプリ」を使う方法もあります。
- 毎日の締め作業(レジ締め・清掃)にチェックを組み込むと、記入忘れが減ります。
- 記録は保存が必要です。保存期間や様式の細部は自業種の手引書・保健所の案内に従ってください。
記録欄のイメージは記録テンプレ(理解用サンプル)で確認できます。 実際の記録は自業種の手引書の公式様式を使ってください。日々の負担が大きい場合は厚労省が案内する HACCP衛生管理記録アプリも選択肢です。
よくある誤解(5件)
つまずきの多くは思い込みから。一次情報に沿った実際と並べます。
HACCPは大きな工場だけの話で、小さな飲食店は関係ない。
厚労省は「令和3年6月1日から、原則として、すべての食品等事業者」に取り組みを求めています。小さな飲食店も対象です。ただし小規模事業者は手引書に沿う簡素な方式が認められています。
専門コンサルに頼んで、分厚い計画書を作らないといけない。
必ずしもそうではありません。業界団体が作成し厚労省が確認した「手引書」の内容を実施することで対応が可能とされています。自業種の手引書のひな形に沿えば、A4数枚に収まることも多いです。
「認証」や「合格証」を取らないといけない。
制度で求められているのは、計画を作り・記録し・見直す衛生管理の実施です。民間のHACCP認証は別の取り組みで、制度上の義務と混同しないよう注意します(詳細は保健所へ)。
一度計画を作れば、あとはずっとそのままでよい。
「効果を定期的に検証し、必要に応じて内容を見直す」ことが求められています。メニューや設備が変わったら計画も更新します。
記録は自己流のノートに好きに書けばよい。
様式は自作するより、手引書の公式様式を使うのが確実です。保存も必要です。細部は自業種の手引書・保健所の案内に従ってください。